遺伝疾患の考え方や、まだまだ出てくる遺伝の単語を勉強していこう。
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対立遺伝子とは
アレルとも呼ばれ、相同染色体には同じ位置には同じ機能に関わる遺伝子が存在する。似た遺伝子がコードされている(指示している)場所を遺伝子座と呼ぶ。この遺伝子座にある遺伝子のことをそれぞれ対立遺伝子と呼ぶ。
ホモ接合体とヘテロ接合体
ホモ接合体は対立遺伝子が同じで、ヘテロ接合体は対立遺伝子が違うもの同士のことをいう。
表現型と遺伝子型
表現型とは、一重瞼や二重瞼のように、遺伝子型に対応して発現する形質(いわゆる性質)のことをいう。
遺伝子型とは、血液型で言う、AAやAOのように、対立遺伝子の組み合わせのことを言う。この時の表現型はA型である。
優性遺伝について
優性遺伝は、一方の対立遺伝子があると、必然的にその表現型になる場合、優性遺伝という。その対立遺伝子のことを優性遺伝子という。
劣性遺伝(顕性遺伝)について
劣性遺伝は対立遺伝子が同じである時のみ、その表現型になる場合、劣性(顕性)遺伝という。その対立遺伝子のことを劣性(顕性)遺伝子という。保因者は、原因の対立遺伝子を一つだけ持っており、発症はしていない人のことを言う。なので、顕性遺伝の時にのみ、保因者という言葉が出てくる。
常染色体優性遺伝と常染色体劣性遺伝
44本の常染色体(22対目)までの染色体に存在する、どちらか一方の対立遺伝子によって表現型(病気など)が出現する場合、常染色体優性遺伝という。片方の親が、相同染色体の片方に優性遺伝子を持っている場合、子は50%の確率で発現する。病気で言うと例えば、四肢短縮症、ハンチントン病、網膜芽細胞腫が挙げられる。
常染色体劣性遺伝とは、44本の常染色体(22対目)までの染色体に存在する、相同染色体が同じ遺伝子座にある対立遺伝子が同じであることによって表現型(病気など)が出現する場合、常染色体優性遺伝という。発症はしていないが、顕性遺伝子を持っている人のことを保因者という。両方の親が保因者の場合、発症する確率は1/4で、保因者である確率は1/2である。病気で言うと、例えば、フェニルケトン尿症が挙げられる。
X連鎖(伴性)優性遺伝とX連鎖(伴性)顕性遺伝
伴性遺伝とは、遺伝子がX染色体上に存在するため、性別によって発現が異なる現象をいう。
X連鎖(伴性)優性遺伝は、X染色体上にのみある優性遺伝子を持つ場合、発症する。1つのX遺伝子のみ原因の優性遺伝子が存在する女と、無発症の男の間の子は、女の子でも男の子でも半分の確率で発症する。例えば、Alport症候群などがある。
X連鎖(伴性)顕性遺伝は、X染色体上にのみある原因の顕性遺伝子を持つ場合、雄なら対立遺伝子を持たないため発症するが、雌の場合、どちらのXも原因の顕性遺伝をもっていないと発症しない。下の状況は近親婚などであり得るがほぼない。例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病、色覚障害などが挙げられる。考察すると、男が発症しても次の子供は、相手が保因者でない限り、保因者の女の子が生まれるだけで、男の子なら遺伝子を引き継がない。保因者の女性が、相手が保因者でない場合、男の子なら半分の確率で発症、女の子なら半分の確率で保因者となる。この考察は図を各自で書いて確認してほしい。
ミトコンドリア病
細胞内にあるミトコンドリアというATPを作り出す細胞内小器官は、ミトコンドリアDNAという独自の環状DNAをもっている。ミトコンドリアで働く酵素が存在し、それが上手く働かないときに、ミトコンドリア病となる。日本では7000人に1人発症する。
ミトコンドリア病の原因遺伝子は核にあるDNAの場合かミトコンドリアDNAにある場合が考えられる。核にあるDNAによる遺伝の場合、ほとんどが常染色体劣性遺伝で、一部が常染色体優性遺伝である。また、ミトコンドリアDNAによる遺伝は母系遺伝と呼ばれ、ミトコンドリアDNAは父のミトコンドリアDNAが遺伝することはなく、母由来のミトコンドリアDNAのみが子供に遺伝する。またミトコンドリアDNAが子の代で突然変異をおこして、発症するケースもある。1つの細胞には、数百から数千のミトコンドリアが含まれていて、このミトコンドリアのうち、何個のミトコンドリアDNAが変異しているのかが、発症の有無に関係する。
ミトコンドリア病は核のDNAの遺伝形式によっても、遺伝するということは知らなかったので驚いた。
染色体異常
染色体は正常で、44本の常染色体が構造が同じもの同士対になって存在し、また2本の性染色体が存在する。この数に異常を来したものが、染色体異常の1つである。もう一つは、染色体の構造に異常を来したものである。
数の異常は、2本の対になるものが1本しかないモノソミーや、3本もあるトリソミーがあって、21染色体トリソミーのダウン症などが挙げられる。性染色体の数の異常でいうと、XYやXXであるはずが、XXYやXOといった性染色体の状態で、前者がクラインフェルター症候群、後者がターナー症候群になる。クラインフェルター症候群はY染色体があるため見た目は男性だが、Xが2つあるため、女性化乳房などの形質が出てくる。
構造の異常は、欠失や重複、相互転座、逆位がある。欠失には5番染色体短腕欠失(5p-)猫なき症候群、相互転座には、白血病のAPL、CMLが挙げられる。
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